Give it: 未来予想図(8059):FADED WORD/山崎 リツさまへ
衝撃音と共に聞こえたのは、聞き間違い様の無い声だった。
煙る粉塵の中から現れたのは、見間違い様の無い姿だった。
自分の頭の中で何度も想像しようとした『山本武』が其処に、いた。
「んな、睨むなよ」
おっかねーなぁと笑うその屈託の無い笑顔は、自分の知ってる山本と同じ顔で。
目の前いるのは山本だと認識しているのに、自分は全身でそれを否定している。
認められない。こんな『山本武』だなんて。
「何でお前が此処にいるんだ」
「…ん?何でって…」
「何でお前は、其処にいるんだ」
立て続けに発した自分の質問に、山本は少しだけ困った顔をしてみせる。
その顔すらも事実を突きつける様で、勢い良く獄寺は視線を逸らした。
「獄寺」
「何で…」
真っ黒いスーツなんか着こなして、これ見よがしに刀なんかぶら下げて
意味有り気に顔に傷なんか作って、変わらない声で自分の名前を馴れ馴れしく呼んだりして。
「お前の、居場所は此処じゃねぇだろう!」
自分の想像した未来との食い違いに、獄寺は声を荒げた。
「(だって、俺が想像していたのは)」
お前がいない、未来予想図。
※叶わない恋に10のお題#08:「貴方のいない未来予想図」→配布サイト:
Arcadia.様
2008/11/04 皆川(24山本←14獄寺で初めて会ったあの辺。何かアレな感じで申し訳ない。)