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WORDS

A delusion sentence.

Misunderstanding(8059)


獄寺曰く。

『ずるいと言うか小賢しいと言うか。
散々人を誘ってその気にさせておいて、実際の所は何も無し。それでも何度もその誘いに乗るのは小さな淡い期待があるから。今度こそ、今度こそ。そう思いながらも俺はまた弄ばれる。』


何の話しかと思った。山本は隣でうつろな眼をして屈み込んでいる獄寺を見る。屋上の爽やかな風とは正反対な苦しそうに呟かれた言葉は、山本を酷くうろたえさせた。何、何の話?そう聞けないまま、頭の中で勝手な解釈を繰り返す。


『秘められた空間で呻くしかない俺は、結局捨てる事が出来ないんだ。』


「…ご…獄寺…」
獄寺の呟きの最後の方は消えそうな声だった。そんな姿に獄寺本人に言えない様な姿を重ね、山本は些か頬を赤くすると同時に胸がの痛みを感じた。きっと自分が入り込む隙なんかないのだろう。山本は握り拳に力を入れた。
「獄寺、俺さ…」
「悪い…」
俺まだ何も言ってないのに。そう思った山本の隣から獄寺は徐に走り出した。向かう先は屋上のドアだ。
「どこ行くんだよ!」


「うっせーな!腹痛ぇんだよ!」

2008/01/12 皆川(獄寺は無駄に頭がいいアホだと思ってる)