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WORDS

A delusion sentence.

俺達の全て(8059→27)


「ごめん」

そう言って軽く俯いた貴方に、自分達は慈しむ様な笑顔を返した。決して作った笑いじゃない。自然と、その表情が出たまでの事だった。大体、目の前の小さな主に作り笑いを返した所で、何の意味もない。
「いいえ。大丈夫です10代目」
「充分だぜツナ」

イタリア南部に位置するシチリア島に本拠地を構えるボンゴレは、他国から本国イタリアに薬物を運び込もうとするマフィア達とぶつかり合っていた。そのマフィア達はボンゴレの末端の同盟ファミリーで、他国のマフィアとの繋がりも強いそのファミリーはイタリアで一番力を持つボンゴレの『薬物は禁止』と言う暗黙の規則をあっさりと破って捨てたのだ。『薬物は金になる』そんな言葉は強ち冗談でもないが、それに目が眩んだ結果なのだろう。再三のボンゴレからの警告も無視したそのファミリーは、各都市にあるボンゴレの建物など息のかかったものを手当たり次第に攻撃を始めた。他国のマフィアから武器や戦力を集めて行われたそれは完全に調子付き、今やイタリアを恐るべきスピードで広がりつつある。

「本当に…俺がもっと早く決断してれば」
「そんな事ないです。10代目はここで決着を待っていて下さい。その為の俺達じゃないですか」
「…獄寺くん」
「すぐ片付けるからさ、そんな心配そうな顔すんなよツナ」
「山本…」

劣勢に追い込まれたボンゴレは、シチリア島に攻め込まれる前に相手を殲滅させる作戦を立てた。だが、マフィアのレベルを既に超えた相手ファミリーの武力は今や守護者7人ではどうにかなるものではなかった。他の同盟ファミリーも自分のテリトリーを守るので精一杯と言うところだろう。援軍は期待出来なかった。

「絶対に帰ってきて」

そんな言葉を背後で聞きながら、山本と獄寺は綱吉の元を離れた。搾り出される様なその言葉に、返事はしなかった。自分達がいなくても、綱吉に危険が及ぶ事は決してないだろう。いざとなればいつも傍らにいる小さな暗殺者と、見えない霧がきっと主を守ってくれる。ボンゴレの屋敷を出たところで、広く澄んだ大空を仰ぎ見た2人は、軽く口唇を合わせると小さく綻ぶ様に笑った。
「最高の門出だ」


貴方がいなければ、俺達は出逢う事も此処にこうして2人立つ事もありませんでした。
そんな幸せをくれた貴方の望みが、今の俺達の全てです。

だから、貴方を害するもの全て、この手で

2008/04/19 皆川(色々と突っ込みどころ有り過ぎる…某CDに影響受け過ぎた…orz)