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WORDS

A delusion sentence.

シルビア(8059←27)


「最近、山本はやっぱり男なんだなぁって思うよ」

ぽつりと零れたそんな綱吉の言葉に、言われた当人―山本は目を瞬いた。口に含んでいた牛乳をごくりと飲み干すと、綱吉に向き直る。
「女だと思ってたの?」
「いや、そういう意味じゃなくてね」
母親の作ったであろう弁当を行儀悪く箸でつつきながら、綱吉は苦笑いを零して口を噤んだ。話そうと思って口に出した事ではない上に、とても失礼にあたる事柄なのではないかと今更思ってしまったからだ。しかし一度口に出してしまった以上、言わない訳にはいかない。隣で続きの言葉を待ち侘びてる山本に対して、それこそ失礼だ。
「…俺の勝手な想像だったんだけど…山本は何かもっと…何と言うか、爽やかと言うか天気のいい日の風みたいと言うか冷たくて気持ちのいい水みたいと言うか」
「ツナ。ちょっとわかんねー」
「…そうだよね…あーえーとなんて言えばいいかな…」
うーん、と悩み始めた綱吉の後頭部を見ながら、出された『天気のいい日の風』とやらを思い出してみるが、それが自分の話とどうやってもイコールにはならない。山本は綱吉と別の意味で頭を抱えた。
「…ごめん。何か直接的で本当に申し訳ないんだけど」
上手い比喩が出来ず―そもそも比喩表現を上手く山本が受け取れないのもあるが―これしかないと、綱吉は意を決した。

「最近、山本の視線が卑猥なんだよ」

放たれたその言葉は山本の脳で正常に認識するまでに少しの時間が必要だったらしい。一瞬の間をおいて、山本は本日二回目の目を瞬いた。
「…卑猥?」
「うん。ごめんね。何かいきなりこんな事言って」
「…いや…」
自覚が無かった山本は、驚きを入り混ぜた表情で綱吉を見た。卑猥、とはつまりそういう視線で見ていたと言う事なのだろう。自覚が無かったとは言え相手に不快な思いをさせてしまっていたらしい。山本は眉を下げ、綱吉に頭を下げた。
「ツナ、ごめん」
「いや!俺に、じゃなくてね!」
「…え?」


「獄寺くんを見て、どんな想像してるの?」


2008/05/10 皆川(中学って給食じゃないんですか。って言うか何言いたいんですかコレ…笑)