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WORDS

A delusion sentence.

ラストダンス→ラストソング(8059←18)


唐突に木霊したその音楽に、思わず歩みを止めてしまった。

清掃の行き届いたボンゴレの屋敷は爽やかな風が入り込んでいた。その風に髪の毛を遊ばせながらゆるりと振り返ったそこに佇むのは、携帯電話を耳にあてる雲雀の姿。彼は電話の向こうへ短く返答を返し通話を終了すると、忌々しげに自分へと振り返った。
「何?」
「…いや」
そのまま何も無かった様に歩みを進めようとした自分に、雲雀は珍しく言葉を投げる。
しかし、その声音は軽く、抉るような攻撃性を含んだものだった。
「まだ引き摺ってるのかい?獄寺隼人」
「…」
「全く『君達』は愚かだね」
その言葉に思わず再度振り返ってしまった身体は、いつの間にか至近距離にいた雲雀に突き飛ばされる。雲雀は常日頃から行動が予測不能で尚且つ気配を感じさせなかった。油断しきった獄寺の身体は突然の出来事に逆らう事が出来ず、ふらりと体勢を崩す。
「な、にしやがる…!」
「いい加減にしなよ」
鋭く刺す様な視線に絡まれて、獄寺は二の次を次ぐ事が出来なくなった。あからさまな雲雀の不機嫌さに、いきなり喧嘩を売られてイラついてるのはこっちだと思ったが、胸倉を掴まれて息が詰まる。
「女々しいよ、君も――彼も」
ギリ、と喉元を締め付けられても、獄寺は抵抗出来なかった。だらりと力無く下げられた両腕は、爽やかな風に吹かれるまま揺れる。呼吸困難で反射的に開いた口元を見た雲雀の眉が、まるで汚らわしいものを見るかの様に顰められた。
「自分の事でしょ?誰に遠慮してるの?言い訳ばかりで馬鹿みたい」


「そんなのだから君達は嫌いなんだ」
獄寺は息が出来ない事よりも、雲雀の言葉が酷く辛かった。

2008/10/17 皆川(…何だかんだ言って雲雀さんはいい人なんだよ。笑。)