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WORDS

A delusion sentence.

**pieces [ ulysses ] - 「I am greedy and sinful」(8059+3359)


自分は、与えられる事に慣れ過ぎていると思う。
幼い頃から、今まで。そしてこれからも。だからこそ、


「獄寺」
まるで小さな子供をあやすかの様に頭を撫でるその手は、いつもの手とは違った。
些か乱暴な撫で方も、少しだけ低い体温も違う。自分を呼ぶその声さえも違う。
たった、たった一つしか歳が違わないと言うのに、滲み出るのは大人の余裕と言うやつなのだろうか。
この手に、その声に不思議と落ち着きを感じる。安心してしまう。
「俺が言うのもなんだが…お前も本当に学習能力のないやつだな」
恐らくこの手を掴めば、安定した暖かな太陽の光の様に穏やかな時間が待っているだろう。
容易い事だ。今までしてきた様に嘘みたいに綺麗に笑って縋ればいいのだ。
『助けてくれ』と。

「うるさい。お前に言われたくない」
しかし、口をついて出たのはいつもの可愛げのない言葉だった。両手で顔を押さえて視界を塞ぐ。
自分には、太陽の光は眩し過ぎるのだ。きっと穏やかな時間の先で、自分は干乾びてしまう。
痛くても冷たくても振り続ける雨に曝されていないと、きっと。

「…まぁ、お前の気が済むまでいるといい」
それでもたまになら光を浴びてもいいだろう。雨風に曝された身体を休めるくらい許されるだろう。
太陽の光を思う事くらい、許して欲しい。
「(俺は、なんて)」

欲深くて、罪深いんだ。
どちらも傍にいて欲しいだなんて。

2009/02/03 皆川(加筆修正済/まだまだまだまだじわじわじわじわ)