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WORDS

A delusion sentence.

Log: 03/Feb 「Between the sheets.」


漂うは酒の、熟成された甘い香り。
時間は深夜。カーテンで仕切られたその窓の向こうには闇空。
隣には恋焦がれた存在。絶好のシチュエーション。

だが。

殺してやりたい程男前に育った隣に座る男は、一向に触れようとしなかった。
沈黙を持て余す様に煽るカクテルが、頭の中をかき混ぜていく。
酒に酔わない自信はあった。しかし、雰囲気に酔ってしまった獄寺は、小さく舌を打つ。
じりじりと焼け付く視線が、身体中をゆるりと這い回る感覚。
アイスペールから氷を摘み上げ、グラスへと放った骨ばった指先。
グラスを撫でる手の如何わしさに、酒が喉を通る音。零れる吐息。
口唇を一舐めして、にやりと笑うその姿に、獄寺はネクタイを解いた。

早く熱い刃で俺を貫いてくれ。
聞き分けのないこの身体がみっともなくお前を求める前に。

2008/04/13 皆川(修正無し)