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WORDS

A delusion sentence.

Log: 08/Jul 「めいっぱい腕を伸ばした長さが、今の自分と彼の距離」


他の奴らとは違う。
そういうのは漠然と感じていた。
大体、言う事やる事ちょっと常識的に考えて、変な事が多過ぎる。
それでも楽しかったし、一緒にいたかった。
だから指輪なんか貰っちゃって『守護者』なんて一括りに纏められたりして
これからもずっと一緒にいれるんだ、なんて勝手に思ったり
―思ったりしていたのだけれども。

「獄寺ぁ」
放課後、学校からの帰り道。自分の家と彼の家への分かれ道。
名前を呼んだ自分の声は、空しく夕暮れの空へと消えた。
俯いたままの顔、振り返らない背中、聞こえる事のない返事。
最近何事か考え込んでいる様に見える彼は、そのまま歩みを止める事はない。
いつもの事。回数が増えてきた最近は、このまま自分が走って行き、彼の肩を叩き、
振り向かせて中身の無い会話をして。繰り返される日常。習慣化する出来事。
だけど。

「(いつかこの手が届かなくなるのかな)」
ふと眺めた肉刺だらけの自分の手の向こう、道を歩く彼が少しだけ振り返った気がしたのは
きっと都合のいい勘違いなのだろうと思った。


※終わりを知る恋に10のお題#03+04
【03:振り返らない、キミの背中】【04:いつかこの手が届かなくなるのかな】→配布サイト:Arcadia.様

2008/11/16 皆川(修正無し/青い春ですよねぇ)