<< RETURN TO MAINMENU

WORDS

A delusion sentence.

Log: 10/Aug 「No Mark!」


「…」
不躾な程、視線を寄越す緑色の瞳。飽きもせずに長い事同じ状態をキープしているそれに、いい加減イラつきを感じ始めて声をかけた。
「何だ、タコヘッド。さっきから人の顔ばかりじろじろ見おって」
「…」
サングラス越しの瞳がギラリと威嚇を滲ませるも、視線を寄越す彼―獄寺は一度瞬きをしただけで状況は変化する事がなかった。小さく眉を顰めた了平は、自分を見るその瞳を覗き込む。
「おい、聞いているのか?」
「…お前さぁ」
不機嫌を露にした了平の言葉に被る様に、獄寺が口を開く。
「黙ってれば割りとイイ線いってんじゃねーか」
「…何?」
「似合ってるぜ。今日のカッコ」
そう言うと、獄寺は片眉を上げ微かに笑う。緑色の瞳が穏やかな光を湛えているのを見て、了平は同じ様に口角を上げた。
「…その言葉はそっくりそのままお前に返すとしよう」
「あ?」
「お前も黙っていれば充分に美しいぞ」
「…それ倍返しだろ…バーカ」


見つめ合いながらお互いを褒め合う獄寺と了平をドン・ボンゴレは、穏やかに呆れを半分くらい足した目で遠巻きに眺めていた。
「(お兄さんて色素薄いんだよな…京子ちゃんもそうだし。獄寺くんはイタリア人だし。2人共モデルみたいでいいなぁ。身長高いしカッコイイし。何か似合うって言うか絵になるって言うかしっくりくるって言うか…しっくり?何て言えばいいのコレ。もしかしてお似合いって言うのかな…)」
「…獄寺氏と笹川氏は何かお似…!」
「?」
一人ぐるぐると一人突っ込みをしていた綱吉は、背後から聞こえていたランボの声が不自然に途切れたのに気付いた。ランボはネクタイが上手く結べないと言って、タイをだらしなく首にぶら下げたままうろうろしていたのを思い出す。結んでやるか、と思い、綱吉はゆるりと振り向いた。
「ランボ、ネクタイ結んでや…」
そこにはネクタイで喉元を絞められて白目を剥きそうなランボと、そのネクタイを掴む満天の笑顔が張り付いた山本の姿があった。
「ちょ…!山本!ランボ死んじゃうって!!」

「(俺、声に出さなくて良かった…!!)」

2009/01/01 皆川(若干加筆修正済/赤○ジャンププレミアムJCカバーで小話)